大切なシモンへ

オルレアンの気候はどうだい? こっちは結構寒いよ。身体には気をつけてくれないと。
風邪を引いたら仕事ができなくて大変だから。
九印とはうまくやってるのかい? たぶん君達ならうまくやれるよね。
君が風邪を引いても、九印が君の代わりをしてくれるだろうね。
俺は、吏祢とは何だかうまくいってないんだ。
彼が何を望んでるのかいまいち分からない。
俺は君と付き合えばよかったよ、シモン。そうすればこんな思いせずにすんだだろうに。
……なんてね、冗談さ。冗談でもこんなこと言うなんて、どうかしてるね、俺。
吏祢のことをどうして愛したのか、よく分からなくなってきた。
今じゃ本当に愛してるのかどうかすら。
……ははは、終わってるよね。

吏祢は運命だのって言ってる。
占いを信じない彼が、俺と彼の間にだけは運命があるって言うんだ。
馬鹿だろう。
でも、本当はそういうことにしておくのが一番楽なんだよ。
どうして愛したのかなんて、いくら考えても答えはでやしない。
だから、取りあえず運命ってことにしておく。吏祢はある意味賢いのかも知れない。
吏祢を愛してるのに変わりはないんだから。
運命かどうかは、別れの時が来れば分かるだろう。来ないことを祈るけどね。

シモン、君が普通の人間じゃないのは何となく気づいたよ。
だが、君が何であれ、君は君だ。そして、その君を愛してくれている人がいる。
君はその人を大切にするべきだよ。
本当は、九印は、とても君のことが大好きなんだと思う。
君が何であるか知っていても、変わらない思い。素晴らしいことじゃないか。
俺と吏祢も、そんな感じなのかも知れないな。
今度ゆっくり、相談に乗ってくれでもしたら嬉しいな。
ウイスキーを二、三本空にするくらい飲み明かせば、少しは心も晴れるだろう。
都合のいい日を教えてね。

君の親友 ピートル




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